<キシリトール>

 1976年にフィンランドで「キシリトール(白樺の木から取れる天然成分)にムシ歯抑制効果がある」ことが知られ、日本では1997年やっと厚生省の認可も下りて、多くのメーカーの製品に配合されるようになりました。
 で、「なんで虫歯の予防に?」と疑問を持っている方、いらっしゃると思います。
 そんな方は、このページを読んでみてください!

虫歯の原因となる細菌の一つに、ストレプトコッカスミュータンスという細菌があります(長ったらしいのでS.mutansと略します)。
 この細菌(S.mutans)は砂糖がとっても好きです。
 砂糖を取り込んで”不溶性グルカン”を合成します(歯の表面にネバッとくっつきます)。
 この”不溶性グルカン”を合成する時に
を産生しますが、産生した酸が(Ph5.5以下になると)歯を溶かし始めて虫歯を作って行きます(下図1)。
 キシリトールの場合もS.mutansに取り込まれますが、”不溶性グルカン”を合成しないで、またキシリトールを作ってしまいます(下図2)。


(図1)
虫歯発生のメカニズム
(図2)
キシリトールによる
S.mutansの無益化

 つまり(図2)の場合、S.mutansはキシリトールを取り込んで合成しようとすればするほどキシリトールを作り出してしまうので、やがて疲れ果ててしまいます(無益化)。
 簡単に書くと、こんな感じです。

 まあ、働けば働くほど給料が増えると思い込んで働いても、結局仕事がなんにも減らずに給料も入らないみたいなもんです。残酷でしょ?


【虫歯予防効果を得る為のキシリトール摂取方法】

 虫歯の予防効果を期待する場合、砂糖が配合されていないキシリトール(濃度は最低50%以上)を少なくとも1日に3〜5回摂取する必要があります。
 それを1年以上継続する事によって、キシリトールによる虫歯予防のプログラムとして成立すると言われています。

1.





摂取量
チューインガムで5〜10g
100%キシリト−ルの板状ガムで5枚
粒状ガムで10粒
キャンディーや錠剤で10g

2.





摂取の時期、時間
1日の所要量を何回かに分けて摂取します
食事直後の摂取が理想的です
砂糖を含んだお菓子を食べた直後は有効ですが、同時摂取は無効です

3.




摂取方法
 噛む事が唾液分泌を促進して、唾液中の防御因子とキシリトールの効果が期待出来るため、ガムによる摂取が最も効果があります

4.


キシリトール製品の取り扱い
 キシリトールは吸湿性が高いので、冷蔵庫などの低温で乾燥した場所に保管する事が望ましいようです


 キシリトールの虫歯予防効果を期待して摂取する場合、かなり管理して摂取しないと思った効果が得られませんので、安直に「キシリトール食えば虫歯にならない」とは考えないでください。
 それと、
「歯ブラシしなくてもいい」なんて言ってませんので、拡大解釈しないでくださいネ。

 以上、キシリトールのお話しでした。

【ムシ歯は感染症】

 S.mutansは生後3年までの間に感染しなければ、一生その人の口腔内(口の中)には存在しないと言われています(他の細菌が縄張りを作ってしまって、S.mutansの入る余地が無くなってしまう)。
 つまり元々口の中には存在しない細菌で、お母さんの口(その子本人以外の全ての人の口)から口移しで食べ物を与えた場合に、その食べ物を介してS.mutansが感染するようです。
 だから、「生後3年に満たない子供に口移しで食べ物を与えたり、他のヒトの使ったおハシや食器で食べ物を与えたりしなければ、虫歯にならない」という事で一生懸命努力されているお母さんもいらっしゃるので、気を付けてあげましょう!
 おじーちゃんやおばーちゃんが赤ちゃんの唇に”チュッ”とやるのもダメなんです!